起業家の皆さまへ

1.会社設立か個人事業主か 税務上の相違点

 独立開業するにあたって、個人事業と会社とではどちらがよいか、というご質問をよく受けますが、事業の内容を考えれば、どのような事業形態がいいかは、自ずと判断がつくでしょう。
 税の問題は、副次的な問題ですが、個人事業形態と会社形態とでは、税の取扱いについては、次のような違いがあります。

(1) 自分に支払う給与

 会社を設立した場合、会社が経営者に給与を支払う形になります。従って、経営者の所得区分は「給与所得」となり、給与所得の計算にあたっては、「給与所得控除(給与に対する経費とみなされるもの)」の適用があります。
  これに対し、個人事業主形態では、事業主は自らに給与を支払うことはできません
 事業の儲けが「事業所得」となりますが、事業所得には給与所得控除のような控除額はありません(ただし、青色申告の要件を満たしていると青色申告特別控除額の適用を受けられます)。

※「会社を設立すると節税になる」といわれるのは、この取扱いがあるからです。
しかし、平成18年4月1日以後開始事業年度においては、特殊支配同族会社の社長給与のうち、給与所得控除相当額については、法人税の計算上、会社の経費としないという税制改正があったため、会社設立による節税効果が薄れました

(2) 家族従業員に支払う給与

 経営者の家族に対する給与の支給は、会社の方が簡単です。個人事業主の場合、同じ「お財布」で暮らしている(生計一という)者に対する給与等の支払いは、原則、その事業の経費とならないためです。個人事業主の場合、生計一の親族に対する給与をその事業の経費とするには、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出等一定の要件が必要となります。

(3) 経営者または経営者家族が所有する事業用資産の賃借料、

借入金利息等

 たとえば、会社が経営者またはその家族から不動産を賃借して事務所としている場合、この賃借料は会社の経費になります。一方、経営者またはその家族は、その賃貸料収入を不動産所得として申告する義務があります。
 個人事業主の場合は、事業主または事業主と生計一の親族に支払う賃借料は必要経費になりません。ただし、事業のために、他者に支払う賃借料・保険料・公租公課、事業の用に供した親族の資産の減価償却費等は必要経費となります。

(4) 税 率

 中小法人等の法人税の税率は18%(※)と30%の2段階の税率です。個人事業主は所得税率が適用され、その税率は5%から40%の累進課税税率(6段階)となっております。

※平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税の税率は、22%から18%に軽減されています。

(5) 決算期の選択

 個人事業主は、暦年(1月から12月まで)単位の所得を翌年の3月15日までに確定申告することとされておりますが、法人の場合は、決算期日を任意に選べます
 会社の場合は、原則として決算期日の翌日以後2ヶ月以内が確定申告期限とされております。

(6) その他

1.法人の場合、青色欠損金は7年間繰り越すことができますが、個人事業主の場合は、3年間の繰り越しにとどまります。

2.法人の場合、一定金額以上の交際費は、税務上の費用とならずに課税を受けますが、個人事業主の場合、事業の遂行上必要と認められる交際費は、全額必要経費となります。

3.法人は、赤字の場合でも最低年7万円の税金(地方税均等割)を負担することになります。

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