会社経営者の皆さまへ

3.非公開会社の株主総会の開催手続き

株式会社は、毎事業年度の終了後に、定時株主総会を開催しなければなりません。
 同族会社の場合は、株主も役員も身内ばかりなので、ある意味、毎日が株主総会のようであるかもしれませんが、身内以外の外部の株主がいる場合には、特に、一定期間の経営活動を報告し、経営に関する重要事項を決定する場(=株主総会)を株主に対して設けることが、出資者(=株主)への責任ともいえます。

(1)株主総会の手続き

 株主総会には、計算書類等を承認する定時株主総会と、臨時株主総会とがあります。定時株主総会は、毎事業年度の終了後3ヵ月以内に開催され、臨時株主総会は、必要に応じ開催できます。

 株主総会を開催する場合には、会社法で定められている手続きに従って、議案を設けて、株主に書面等によって連絡をしなければなりません。
 非公開会社の株主総会の招集通知は、原則、会日の1週間前までに発すればよく、取締役会非設置会社については、定款で1期間よりも短い期間とすることができます。
(会社法299条1項)

(2)株主総会の決議事項

 株主総会では、計算書類の承認、剰余金の分配(利益配当)、役員の選任、定款変更などの事項を決議します。決議には、普通決議特別決議特殊決議の3種類があり、順に決議要件が重くなります。
 特別・特殊決議事項は、会社法309条2項以降にまとめられており、これらに該当しない場合は、普通決議で足ります。

【特別決議事項】

決議事項

定足数

議決要件
 譲渡制限株式の買取の決定または  指定買取人の指定
  (140条2項及び5項)
 議決権を行使できる  株主の議決権の過半数
 (定款において3分の1     以上の割合を定めた    場合にはその割合   以上)
 出席株主の議決権の  3分の2以上  (定款において3分の2   以上の割合を定めた    場合にはその割合   以上)
 株主との合意による自己株式の取得    (160条1項の特定の株主を定める   場合に限る)
 全部取得条項付種類株式の取得
  (171条1項)、および  相続人等に対する売渡請求
  (譲渡制限株式のみ、175条1項)
 株式の併合(180条2項)
 募集株式の募集事項の決定等
  (199条2項、200条1項、202条3項    4号および204条2項)
 新株予約権の募集事項の決定等
  (238条2項、239条1項、241条3項    4号および243条2項)
 累積投票により選任された取締役の   解任または監査役の解任
  (339条1項)
 役員等の責任の一部免除
  (425条1項)
 資本金の減少(447条1項)
  (一定の場合を除く)
 金銭以外による配当(454条4項)
  (一定の場合に限る)
 定款の変更、事業の譲渡等、解散
  (第6章?第8章)
 組織変更、合併、会社分割、
 株式交換および株式移転(第5編)

【特殊決議事項 その1】

決議事項

定足数

議決要件
 定款変更により非公開会社に
 移行する場合
規定なし  議決権を行使できる  株主の半数以上
 (定款において半数   以上の割合を定めた   場合にはその割合   以上)
     かつ、  議決権を行使できる  株主の議決権の  3分の2以上
 (定款において3分の2     以上の割合を定めた   場合にはその割合   以上)
 消滅株式会社等による  吸収合併契約等の承認  (783条1項)    消滅株式会社等が公開会社   で、当該株式会社の株主に  対して交付する金銭等の全部   または一部が譲渡制限株式等  である場合の株主総会に限   る。
 消滅株式会社等による
 新設合併契約等の承認  (804条1項)
   消滅株式会社等が公開会社   で、当該株式会社の株主に  対して交付する金銭等の全部   または一部が譲渡制限株式等  である場合の株主総会に限  る。

【特殊決議事項 その2】

決議事項

定足数

議決要件
 配当や残余財産を受ける権利   等について、株主ごとに  異なる取扱についての定款の   定めの変更(109条2項) 規定なし  総株主の半数以上(定款において半数   以上の割合を定め   た場合にはその  割合以上)
   かつ、  総株主の議決権の  4分の3以上
(定款において  4分の3以上の割合   を定めた場合には  その割合以上)

(3)株主の権利

 最近では、「モノ言う株主」の存在が注目を集めるようになりましたが、株主には、自分ひとりで行使できる権利「単独株主権」と、一定の議決権割合等があれば行使できる権利「少数株主権」が、会社法により定められています。
 非公開会社については、保有期間に関する制限がなくなるなど、要件が軽くなっています。

A.単独株主権

 

 単独株主権(株主が自分のために自分1人で行使できる権利)の行使にあたって6ヶ月保有期間の制限があった次の権利は、非公開会社の場合には、保有期間の制限がなくなります。

  ◆取締役の責任追及の代表訴訟提起権 (847条2項)
  ◆取締役等の違法行為差止請求権(360条2項)

B.少数株主権

 

 株主の少数株主権(一定の株数や議決権割合を有する株主(数人の株主の保有株式を合計して要件を満たす場合でもよい)のみが行使できる権利)について、議決権による保有条件のほかに、株式の保有基準が追加されました。また、非公開会社の場合には、少数株主権の行使にあたって、6ヶ月保有期間の制限はなくなります。

【少数株主権】

権利の内容

株式の保有期間

議決権等保有条件
 株主提案権(303条) 6ヶ月前より引き
続き株式を有する株主
(注1)
  総株主の議決権の1%以上
または300個以上

 

 株主総会の検査役請求権(306条) 総株主の議決権の
1%以上
 株主総会の招集請求権(297条) 総株主の議決権の
3%以上
 取締役・監査役等の解任請求権
  (854条、479条)
総株主の議決権の3%以上または発行済株式の3%以上
 特別清算における調査命令申立権
  (522条)
 帳簿閲覧権(433条) 不  要
 業務・財産検査役選任請求権
  (358条)
 取締役等の定款授権による免責に対する    異議申立権(426条5項) 総株主の議決権の3%以上
 会社解散請求権(833条) 総株主の議決権の10%以上または発行済株式の10%以上

(注1) 非公開会社の場合には、6ヶ月の保有期間の制限はありません。
(注2) 少数株主権について、定款でその行使条件を引下げること、または単独株主権にすることができることが明文化されました。

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