新型コロナウイルス感染症の影響に対する支援策

新型コロナウイルス感染症による影響への支援策

新型コロナウイルス感染症による影響による資金繰り支援として、日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症特別貸付等」の申込期限が当面年末まで延長されています。最近1ヶ月間の売上高または過去6ヶ月の平均売上高が前3年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している事業者が対象で、返済期間は、設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金は15年以内(うち据置期間5年以内)です。
6,000万円を限度として、当初3年間は、基準金利-0.9%、3年目以降は基準金利での借り入れになりますが、売上高が20%以上(小規模企業者である法人は15%以上)下がっている場合は、当初3年間分の利息は利子補給を受けられるので、実質無利息となります。

感染症による影響の長期化により、資金繰りに不安がある場合は、借換え等により据置期間の組み直しも可能ですので、早目に金融機関に相談しましょう。
日本政策金融公庫では、インターネット申込みで手続きが完結し、24時間、365日受付けています。

国の月次支援金は、2月分から支給開始となり、9月分まで制度化されています。各都道府県では、緊急事態措置やまん延防止措置に基づき、飲食店等に対し、営業時間の短縮や休業要請をし、要請に応じた事業者に感染防止協力金を支給しています。

雇用調整助成金は、助成率及び上限額を引き上げる措置が9月まで延長されていますが、11月まで延長される予定です。

国の月次支援金、静岡県の協力金・応援金制度

緊急事態措置やまん延防止等重点措置に伴う、飲食店の休業・時短営業または外出自粛等の影響を受け、月間売上が2019年または2020年の同じ月に比べて50%以上減少している場合、中小法人等は月額20万円、個人事業者等は月額10万円を上限に、「月次支援金」が給付されます。
【申請期間】
7月分の申請期間は、2021年8月1日~9月30日です。
8月分の申請期間は、2021年9月1日~10月31日です。
9月分の申請期間は、2021年10月1日~11月30日です。

 

また、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に基づく感染防止対策として、各都道府県で飲食店等に対する営業時間短縮や休業などの要請が行われ、要請に協力した事業者には、「感染防止協力金」が支給されます。
たとえば、静岡県では、飲食店や遊興施設向けに、中小企業・個人事業主の場合は、事業規模(売上高)に応じて、まん延防止等重点措置期間(8月8日~8月19日まで)は「3~10万円×協力日数」、緊急事態措置期間(8月20日から9月12日)は「4~10万円×協力日数」で算出される協力金が支給されます。
【申請受付期間】
まん延防止等重点措置期間  9月1日~9月30日まで
緊急事態措置期間      9月13日~10月12日まで

 

月次支援金や感染防止協力金とは別に、静岡県では、売上が50%以上は下がっていないものの、30%以上50%未満下がっている事業者に対し、「中小企業等応援金」が支給されます。一般枠は、中小法人等は上限10万円、個人事業者は上限5万円です。一般枠の他に酒類事業者枠が設けられ、酒類事業者枠では売上が30%以上50%未満下がっている場合のほか、売上が50%以上下がっている場合は、国の月次支援金の上乗せ措置として、中小法人等は上限20万円から60万円、個人事業者は上限10万円から30万円が支給されます。
【申請期間】
8月分の申請開始期間は、9月中旬頃を予定しています。

 

特例版・納税の猶予(延滞税なし、1年間の猶予、無担保)

新型コロナウイルス感染症の拡大により、令和2年2月以降の任意の期間(1ヶ月以上 2月16日~4月15日といった期間でもOK)において、事業等の収入が前年同期に比べて概ね20%以上減少し、一時に納付することが困難な場合は、法人税や消費税、所得税といった国税(中間申告分もOK)の納税猶予を受けられます(特例納税猶予)

 

令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する税金が対象で、納期限ごとに、納期限までに、「納税の猶予申請書」の提出が必要です。ただし、6月30日までは、納期限後でも申請が可能です。

これにより、無担保、延滞税なしで、1年間の猶予が受けられます。

 

特例納税猶予の申請書の様式は、今後6か月の支出見込みと手持ち資金(現預金、売掛金は含めない)との比較から、納付困難額を計算する仕組みです。あくまでも、「猶予」なので、原則、1年以内の納税が必要ですが、当面の

資金流出を抑えることはできます。

消費税の課税選択の変更に関する特例

新型コロナウイルス感染症の影響で、事業計画が大きく変わってしまった事業者さんも多いと思います。消費税の課税売上高が1,000万円前後の事業者は、消費税について、免税にするか課税にするかの選択届出が、特例によって、課税期間後においても可能となる等、柔軟な措置がとられています。

なお、この特例の適用により、課税事業者を選択する(または選択をやめる)場合、2年間の継続適用要件」は適用されませんので、特例により課税事業者を選択した課税期間の翌課税期間において、免税事業者に戻ることができます。

 

令和2年4月30日以後に消費税の申告期限が到来する課税期間において、令和2年2月1日から令和3年1月31日までの期間のうち、一定期間(1ヶ月以上の任意の期間)の収入が、前年同期に比べ、概ね50%以上減少した事業者が対象です。この収入が50%以上減少した期間内の日を含む課税期間を「特定課税期間」といいます。

 

▮ 申請に必要な書類等

・「新型コロナ税特法第10条第1項(第3項)の規定に基づく消費税課税事業者選択(不適用)届出に係る特例申請書」 2通

・「消費税課税事業者選択(不適用)届出書」

・ 収入の減少がわかる月次試算表や売上帳などの書類

 

 申請期限

・ 課税事業者を選択する場合(注1)

特定課税期間の末日から2月以内(個人事業者は通常3月以内)

(注1)この2月以内の申請は、災害による個別延長の対象になります。

 

・ 課税事業者の選択をやめる場合

特定課税期間の確定申告書の提出期限(注2、3)

ただし、下記(注3)により、やめようとする課税期間中に提出となる場合もあります。

(注2)災害による個別延長を受けている場合はその延長された期限

(注3)特定課税期間の末日が、課税事業者選択届出書の提出により、課税事業者となった課税期間の

初日以後2年を経過する日(2年経過日)より前に到来する場合は、「2年経過日の属する

課税期間の末日」と「課税事業者の選択をやめようとする課税期間の末日」とのいずれか

早い日となります。

 

特に、この(注3)の申請期限、わかりにくいですよね。そこで、具体例を考えてみました。

 このような方は特例の検討を!

(1)今期も、来期も免税事業者の予定だったが、今期の売上がとても下がってしまったので、今期のみ消費税の課税事業者になって、消費税の還付を受けたい。

 

(2) 設備投資を予定していたので、免税事業者だったがあえて課税事業者を選択していたが、設備投資を見送ることにしたので、今期は免税事業者を選択し、来期は課税事業者に戻りたい。

 

 留意点

  免税事業者から課税事業者への変更、課税事業者から免税事業者への変更を1年限りとしたい場合は、課税事業者をやめる(または選択する)ための申請と届出を、申請期限までに行う必要があります。

つまり、たとえば、免税事業者から課税事業者に変更した場合、2年縛りがないといっても、1年間たったら、 自動的に免税(不適用)になるわけではありません。

また、「申請」なので、承認を受けてからの申告となります。間に合わない場合には、申告書の提出を個別延長申請により延長することができます。

消費税の簡易課税制度の適用の特例(災害等の特例)

消費税の簡易課税制度の適用を課税期間の開始後に変更することについては、従来から、「災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた場合」の特例が設けられています(消費税法37条の2)。

この場合も、「2年間の継続適用要件」は適用されません。

 

上記の課税選択の変更の特例のように、売上が概ね50%以上の減少といった具体的な要件はありませんが、通常の業務体制がとれないので、事務処理能力が低下し、簡易課税へ変更したい場合や、感染拡大防止のために、衛生用品の大量購入や感染防止のパーテーション設置工事などで、緊急な課税仕入れが生じたため、一般課税に 変更したいなどの事情がある場合は、課税期間の開始後であっても、簡易課税の制度を選択する(または選択をやめる)ことができるとされています(国税庁消費税室Q&A 問20より)。

 

 申請手続き

  新型コロナウイルス感染症等の影響による被害がやんだ日から2月以内に次の書類を提出

※被害のやんだ日が、その申請に係る課税期間の末日の翌日(個人事業主の場合は、その末日の翌日から1月を経過した日)以後に到来する場合には、その課税期間に係る確定申告書の提出期限(個別延長申請の対象)

 

・災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書

・消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書