早わかり 令和4年度税制改正大綱

12月10日に決定された「令和4年度与党税制改正大綱」について、個人・中小企業者に関係がありそうな事項をまとめました。
住宅ローン控除や賃上げ税制が話題になっていますが、比較的、小粒な改正となり、納税環境整備に係る項目が多かった印象です。注目されていた、相続税と贈与税の一体課税については、新たな情報はなく、中長期的な課題として扱われています。

住宅ローン減税
①令和7年12月31日入居分まで4年間延長する。
②所得要件は合計所得金額2,000万円以下に引き下げる。
控除率は0.7%に引き下げる
④新築住宅
令和4~5年居住…借入限度額3,000万円まで13年間控除(最高21万円を13年間)
令和6~7年居住…借入限度額2,000万円まで10年間控除(最高14万円を10年間)
⑤認定住宅
令和4~5年居住…借入限度額5,000万円まで13年間控除(最高35万円を13年間)
令和6~7年居住…借入限度額4,500万円まで13年間控除(最高31.5万円を13年間)
⑥既存住宅
令和4~7年居住…借入限度額2,000万円まで10年間控除(最高14万円を10年間)


100%子会社、3分の1超関連会社からの配当に係る源泉所得税

令和5年10月1日以後に支払いを受けるべき配当等について、所得税の源泉徴収を行わない


特例事業承継税制

特例事業承継計画の提出期限を1年延長する(令和6年3月31日まで)。


所得拡大税制

【大会社向け】
継続雇用者給与等支給増加額をベースに計算する方法に戻る(最大で30%の控除率だが、資本金10億円以上かつ常時使用する従業員数が1,000人以上の大法人については、ステークホルダー要件が付される)。

【中小企業等向け】
雇用者給与等支給額の前年度増加率が1.5%以上の場合、増加額の15%を控除する。
前年度増加率が2.5%以上の場合は、更に15%を加算(30%の控除率)する。
教育訓練費の額の前年度増加率が10%以上の場合は、更に10%を加算する(最大で40%の控除率となる)。


10万円未満の少額減価償却資産の取得価額の損金算入、中小企業者等の30万円未満の少額減価償却資産の損金算入特例、一括償却資産の損金算入制度

対象資産から貸付け用(主要な事業として行われるものを除く)資産を除いて、適用期限を2年延長する。


適格請求書発行事業者の登録

免税事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合は、その登録日から適格請求書発行事業者の登録を受けることができるように見直す(令和5年10月1日の初年度だけでなく、施行後6年間は、期の途中からの登録を可能とする)。

ただし、令和5年10月1日の属する課税期間以外に登録を受ける場合は、登録日の属する課税期間の翌課税期間から登録日以後2年を経過する日の属する課税期間までは、免税事業者に戻れない(2年縛りの対象になる)。
【例1】令和5年12月期の10月1日以降に登録を受けた場合
令和6年12月期から免税事業者になることができる(2年縛りなし)
【例2】令和6年12月期の途中に登録を受けた場合
令和7年12月期、令和8年12月期は免税事業者になれない(2年縛りあり)


個人・財産債務調整制度

提出義務者を見直し、その年の12月31日における財産額が10億円以上の場合は、所得金額に関わらず提出義務を付し、提出期限を翌年の6月30日とする(令和5年分以後)。


個人住民税における金融所得税制

特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る課税方式を、所得税と住民税とで一致させる(令和6年1月1日以後)。


直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税措置

令和4年1月1日から令和5年12月31日まで、2年間延長する。
非課税限度額は次の通りとする。
①耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋 1,000万円
②上記以外の住宅用家屋 500万円
適用要件につき、住宅の床面積は40㎡以上、受贈者の合計所得金額を1,000万円以下に変更する。


電子取引情報の電子保存について

令和4年1月1日からの適用であったが、紙面での代替保存措置を2年間猶予する。