2.電子帳簿等の保存

■ 事前承認制度が廃止
システムで作成した帳簿や請求書等の書類を紙に印刷して保存する代わりに、作成したデータそのものを保存する場合には、所轄税務署長に事前に申請し、承認を得ることが必要でしたが、令和4年1月1日以後に備付けを開始する帳簿書類については、事前承認は不要とされました。


 
「優良な電子帳簿」と「その他の電子帳簿」
総勘定元帳や仕訳帳その他必要な帳簿について、改正前と同様、「訂正・削除履歴の確保」「相互関連性の確保」「検索機能の確保」等の要件を満たしたシステムで作成・保存される場合は、「優良な電子帳簿」と区分され、紙ではなく電子データでの保存が認められます。一方、複式簿記に従って作成・保存し、システム概要書や操作説明書を備え付けるなど最低限の要件を満たす電子帳簿(「その他の電子帳簿」)についても、紙に印刷して保存する方法に代えて、電子データでの保存が可能となりました。
一定の国税関係帳簿(総勘定元帳や仕訳帳、売掛帳や固定資産台帳等)について、優良な電子帳簿の要件を満たしている場合には、税務調査による申告漏れが指摘されたときには、過少申告加算税が5%軽減される措置(あらかじめ、この軽減措置を受けるための届出書の提出が必要)が整備されました。
しかし、この軽減措置は、すべての帳簿について、優良な電子帳簿の要件を満たしていないと受けられず、たとえば、売掛帳をエクセルファイルで作成していたり、固定資産台帳の作成は税理士事務所で行っている場合などは、軽減措置の対象外になるといわれています。
軽減措置を受けるには帳簿について優良な電子帳簿である旨の届出が必要ですが、国税庁が公表した一問一答には、総勘定元帳や仕訳帳だけでなく、売掛帳や固定資産台帳まですべての帳簿が優良な電子帳簿の要件に該当しないと届出ができないとされています。すべての帳簿という要件はかなりハードルが高いため、せっかく軽減措置を整備しても、実際には、適用できない措置になりそうです。